子どもがいじめにあっていると分かった時。
親としては動揺しますよね。
そして、できるなら「わが子を救ってあげたい」と思うもの。
わが家も小学生の娘がいじめにあったことがあります。
その時、わが家がどういう対応で乗り越えたか、実体験を記しておきたいと思います。
娘が受けたいじめ(小学校低学年編)
娘が小学校の低学年(1、2年生)の頃、いじめを受けたことがあります。
いじめた本人は、Aちゃん。
Aちゃんは、成績優秀、容姿端麗。
友達関係でも積極的に人と関わる性格も明るい子でした。
しかし、一人っ子で、ご両親から大切に甘やかされて育ったようで、小さい頃から自分の思い通りにならないと癇癪を起すクセがあったようです。Aちゃんの癇癪もちには、ご両親も困っていました。
小学校入学後、名前の順ですぐ近くの席になったAちゃんと、娘はすぐに仲良くなりました。
連日のように、放課後は遊ぶ約束をして、お互いの家を行き来していました。
しかし、数ヶ月が経過すると、娘が「Aちゃんと遊ぶのがツライ…」と告白するようになりました。
どんないじめを受けた?
Aちゃんと遊ぶのがツライと思う理由を聞くと、以下のようなことがあったようです。
・帰り道、途中まで一緒に帰ると、いつもランドセルを持たされる
・学校で外履きから上履きに履き替える際、上履きをAちゃんの足元に揃えておくように強要される
・親と約束した時間に帰ろうとしても「あと10分」などと無理やり引き延ばし帰らせてくれない
・他の友達と一緒に遊ぶ約束をした時に娘にだけ遊ぶ場所や時間を教えず、他の友達と遊ばせない
・他の友達と遊んでいると、無理やり連れだし遊ばせない
・いうことを聞かないと、先生が見ていないところで蹴ったり叩いたりする
・ゲームに使うカードなどを無理やり交換ね!といって良いカードを奪う
娘は、いうことを聞かないと蹴られたり叩かれたりする恐怖から、何でも笑顔でいうことを聞いていたようです。
はじめのうちは「しょうがないな」と笑って許せたことも、数ヶ月も続くと段々うんざりしてきたようで、ついに私に告白したようです。
娘はAちゃんを自分の友達と思っていて、他の友達と遊ばせてもらえないため、Aちゃんが遊んでくれなくなったら友達がいなくなるという恐怖もあわせもっていました。
また、友達の要求にこたえることは「やさしさ」で、「嫌だ」ということは「やさしくない」ことだと勘違いもしていました。
誘われると断れない、他に仲の良い友達のいない娘としては、現状では「遊ばないようにする」ということも難しいということでした。
私がしたこと
私としては、すぐに先生に連絡するということも頭をよぎりましたし、ご両親に状況を伝えAちゃんを遠ざけるということも考えました。
しかし、まずは状況をよく観察することから始めました。
確かに頭の良い子で、自分の親の前では、娘から奪ったゲームのカードも「〇〇ちゃんからもらったんだー!」と話しているようですし、Aちゃんのご両親からもいつも仲良くしていただいてありがとうございますと言われていました。ご両親でさえ自分の娘の状況に気が付いていない様子でした。
わが家に遊びに来るAちゃんの様子をよく観察してみると、本人にいじめをしている意識はないように見えました。
本人のもともとの性格上、欲しいものは手に入れない時が済まない、手に入らない時は癇癪を起すということを繰り返しているだけのように見えたのです。
そして、何でも受け入れてしまう娘の性格もAちゃんの癇癪を増長しやすいのだということに気が付きました。
そこでわが家がとった対策はこうです。
・遊ぶ時は極力わが家にしてもらう
→自分の親の前だと、わがままをいっても許されるため、無理やり遊ぶ時間を長引かせたりしていました。しかし、
頭のいいAちゃんは、私の前ではいい子でした。私がキッチンで用事をしている時など、目を離したすきにカードを奪うようなことをしていたので、片時も目を離さないようにしていました。
・約束の時間に買ってこない時は、相手の両親に連絡する
→相手のご両親も、10分くらいなら…とあまり時間に厳しい意識を持っていませんでした。そこで、わが家のルールを説明し、何時までに帰宅するようにしつけたいから協力してほしいと願い出ました。もし延長する場合は、事前に連絡してほしいとお願いし、連絡がない時は、「うちの子まだ帰ってこないんだけど、まだお邪魔してる?帰るように言ってくれる?長々お邪魔してしまって本当にごめんなさいね!」とこちらから連絡しました。何度もこちらから連絡すると、相手のご両親も「あそこは時間に厳しいうちだ」と認識するようになり、時間通りに帰してくれるようになりました。
・やられて嫌なことを嫌ということも友達であると娘に教える
→Aちゃんのわがままを増長させてしまっているのは、うちの娘の性格の問題もありました。叩かれたらみんなに聞こえるような大きな声で「痛い!」と言いなさいと教えました。
・Aちゃんだけが友達ではないと伝える
→娘の中には、Aちゃんと仲良くしないようにするという行為は、自分がAちゃんをいじめていることになるという考えがありました。みんなに優しくすることを一番に優先していたのです。嫌なことをしてくる友達と距離を置くことは、いじめではないということを娘に伝えました。
いじめ解消の時
娘の場合は、正確にはいじめとは言えないかも知れません。
Aちゃん本人は、ただ何でも言うことを聞く娘を自分の思い通りに動かしたいと思っているだけで、いじめているという意識はなかったからです。
Aちゃん本人の本来の性格のせいであるところも大きく、なかなかすぐに根本的な改善はしませんでした。
しかし、クラス替えでAちゃんとクラスが離れると、自然に他の友達と遊ぶ機会が増え、自然にAちゃんとうまく距離が取れるようになりました。
Aちゃんは…というと、今までは何でも言うことを聞いてくれた娘ではなく、嫌なことはきっぱり嫌という子たちと付き合うようになり、「Aちゃんってさーわがままだよね。みんなに嫌われてるよ」とズバッと言われたようです。一時期、なかなか一緒に遊んでくれる子もいなくなり、孤立もしたようです。
しかし、そこでAちゃんも自分がわがままを通すと嫌われるということを学び、その1年後、再び娘と同じクラスになった時は、別人のように優しい子になっていたそうです。
今では、娘とAちゃんは普通に仲の良い友達になりました。
娘も、昔のAちゃんとは全然違うと喜んで遊んでいます。
私もAちゃんのご両親とは変わらず仲良くさせていただいています。
まとめ
今、Aちゃんと娘が仲良くしている姿を見ると、あの時、先生やご両親に「どういうことですか」と怒鳴りこむようなことをしなくて本当に良かったと思っています。
あの時、ご両親に問題を伝えていたら、今頃仲良くはしていなかったでしょう。
どの子どもも成長しているのですね。
どのいじめもこのように対応すればいいということではなく、一例として参考になれば幸いです。